10月23日(金)、マレーシア中央銀行とタイ中央銀行が、シンガポール金融管理局(MAS)が2025年10月に立ち上げたBLOOMに参加した。BLOOMは、金融機関がトークン化預金や規制下のステーブルコインで国際送金を決済できるようにする取り組みだ。同じ地域の3つの中央銀行が、トークンで動くお金について共通の課題に取り組むことになり、参加者にはVisa、Mastercard、Ripple、Airwallex、世界銀行グループが名を連ねる。対象には貿易金融も明記されている。
確かな前進だが、そこにはコストの話もついてくる。その1か月前、キャップジェミニのWorld Payments Report 2027は、売上高10億ドル超の企業1,110社を調査した。74%が国際送金を「遅く、高く、予測しにくい」と答えた。さらに同レポートは、こうした送金を成り立たせるためだけに、最大4兆ドルが決済・流動性口座に置かれていると推計している。
4兆ドルが、ただ置かれている。この数字が語っているのは、送金のことだけではない。
誰もがすでに「相手を信用できないコスト」を払っている。
誰でも身に覚えがあるはずだ。賃貸の敷金。チェックイン時にホテルがカードで押さえる金額。工事の前に3分の1を求める工務店。どれもサービスへの対価ではない。相手が約束どおりに動くかをまだ確かめられないから、お金を脇に置いておく。預け金は、その見えない部分の代わりをしている。
企業は同じことを大きな規模で行っている。仕入先に期日どおり払うために海外口座へ資金を前もって入れる。金曜日にも送金が通るよう、銀行はコルレス先に余裕資金を置く。お金はなくならないが、待っている間は何も生まない。見知らぬ相手との取引が増えるほど、手元資金の多くがどこかの預け金になっていく。
速いお金は預け金を小さくする。だが、預ける理由は消えない。
BLOOMのような取り組みが本当に解決できるのはここだ。送金が数分で、いつでも決済されるなら、送ってから届くまでの待ち時間を埋める余裕資金は小さくて済む。4兆ドルの一部は戻ってくる。良い結果であり、中央銀行が出発点に選ぶべき場所でもある。
ただ、余裕資金がある理由は一つではない。一部はお金が移動する時間のため。残りは、相手が約束を果たしたかを知るまでの時間のためだ。トークンは前者を短くする。後者には、それだけでは何もできない。
貿易で待っているのは、貨物だ。
よくある「前払い30%、残り70%は船荷証券のコピーと引き換え」という条件で輸出している日本企業なら、すでに知っている。30%は買い手が払う預け金だ。70%は輸出者が差し出す「信用の預け金」だ。貨物は出航し、権利を表す書類は誰かの手にあり、代金はいつ届くかを買い手が決める。どれほど速い決済網でも、買い手が決めるタイミングは変えられない。
時間はどこで失われているのか
私たちが関わる航路では、送金そのものが一番遅い工程であることはまれだ。日数を食うのは出来事と出来事の間である。船荷証券の発行、書類の確認、権利の裏書、支払いの指図。それぞれが別のシステムにあり、別の当事者が持ち、お金は人がそれらをつなぐのを待っている。
信用状が本当に買っているもの
大口の取引や新しい取引先との間で信用状が見直されているのはそのためだ。銀行が見知らぬ2者の間に立ち、書類と引き換えに支払うと約束する。この約束には価値がある。一方で時間もかかる。約束が出荷の出来事そのものではなく、紙の審査に結びついているからだ。
次の一歩は、正しい出来事を待てるお金だ。
問うべきは、トークンが国境を越えられるかではない。それはBLOOMが答えを出す。問うべきは、支払いに「何を待つか」を伝えられるかだ。誰かが送金を思い出したときではなく、権利が移ったときに払われる。そうなればどちらも先に払う必要がなくなり、信用の預け金はいらなくなる。
成り立つための3つの条件
- 貿易の出来事は、一方が他方に報告するのではなく、双方と銀行が見られる場所に記録されていること。
- 代金は、トークン化預金のような規制下の形で保全され、最初から本物のお金であること。
- 両者を結ぶルールが事前に合意され、支払いに誰の追加判断もいらないこと。
難しいまま残るもの
国境をまたぐと、二つの半分が同じ法域にあることはまれだ。輸出者の銀行はトークン化預金を受け入れても、輸入者の銀行はそれを認めないかもしれない。誠実な設計なら、トークンが止まる区間で何が起きるかを示さなければならない。
私たちがつくっているのは、この層だ。
STANDAGEが取り組んでいるのは、まさにこのつなぎ目だ。電子船荷証券を含む出荷の記録を、権利が移るまで保全される支払いと結びつける。BitTradeとは、国際送金を受け取り、換金し、同じ営業日のうちに普通の円として引き出せる状態にするところまでを示した。今週は、トークン化預金のプラットフォームと銀行とともに、船荷証券と代金を一つの手順で決済する共同検討を始めた。速いお金は土台だ。その上に貿易が必要としているのは、条件付きのお金である。
リトマス試験
直近10件の輸出案件について、それぞれ二つの日付を書き出してほしい。権利が自社の手を離れた日と、代金が届いた日だ。
その差が、日数と円で測った「信用の預け金」になる。それがお金の移動時間そのものより長いなら、速い決済網では埋まらない。その差を許容できるかどうかを、社内で決めているのは誰だろうか。
